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研究

研究テーマ                   

ソフトマテリアル(高分子・液晶)の構造を制御し、分子レベルのミクロな現象や物性をマクロな機能・物性発現に結びつける研究に取り組みます。扱う分子は液晶高分子、ブロック共重合体、二量体や低分子の液晶と様々です。自分が扱う分子を設計・合成し、その構造と物性を計測して知る醍醐味を味わうことを大切にしています。


高分子鎖の形態変化を目に見える変形に
 

Macromolecules 2015, 48, 8354-8360.

関連論文
Macromol. Chem. Phys. 2022, 2100399
Macromol. Chem. Phys.2020,2000042
Polymer 2020, 211,123086
Polym. J. 2019, 51, 295-302
Polymer 2019,178,121555

Macromolecules 2014, 47, 4438–4444.
Kobunshi Ronbunshu 2014, 71, 501–507.
Macromol. Chem. Phys. 2013, 214, 2295–2300.
Macromol. Chem. Phys. 2013, 214, 1089–1093.
Macromolecules 2012, 45, 9383–9390.
Macromolecules 2011, 44, 4586–4588.
液晶状態で液晶配向方向に伸び,液体状態で糸まり状になる~この高分子の形態変化をマクロな変形として取り出せないか?適切な分子を探し続け,液晶高分子の両端に非晶ポリマーを連結したブロック共重合体に出会いました.この共重合体はラメラ状ミクロ相分離構造を形成します.ラメラの中で液晶鎖はラメラに垂直な方向に伸びきっています.液晶が液体に転移すると液晶鎖は糸まり状になり,ラメラ間隔は小さくなります.それに伴って,非晶鎖を架橋したブロック共重合体のフィルムは縮まります.降温して液体が液晶に相転移するとフィルムの長さは回復します.もっと大きく伸縮する系,より簡便に調製できる系を求めて研究を進めています.
最近はラメラ法線方向に試料を伸長変形させたときの構造変形と応力応答との関係を調査し,ラメラを分断すると力学物性が向上することを見出してきています.
 
液晶をきれいに並べて透明に
 
 
Macromolecules 2009, 42, 8406-8211.

関連論文
Macromolecules 2022, 55, 1178.
Macromolecules 2019, 52, 9781.
Liq. Cryst. 2019, 46, 1241.
Polymer 2016, 106, 35-42.
Macromolecules 2012, 45, 4857–4862
.
Macromolecules 2007, 40, 7276–7282.
Jpn. J. Appl. Phys. 2006, 45, 9152–9156.
Macromolecules 2004, 37, 2527–2531.
液晶の物性を正確に計測したり活用したりするには,大きなサイズで液晶が一方向に向いた(配向した)試料が必要です.ディスプレイ材料に使う低分子液晶はガラス表面にある高分子膜で配向させています.粘度の高い高分子はそうはいきません.私たちはせん断流動で配向試料を作ろうと考えました.やってみると,液晶はせん断速度で配向方向を変化させしたり,フィルムが透明になるほどに高度に配向したりすることを見つけました.また,レオロジー挙動(左図は粘度)と配向のせん断速度(周波数)依存性とには関係があることが分かってきました.その解明を続けながら,見事に配向して透明になった試料の物性測定にも取り組んでいます.
液晶高分子を大面積で高度に配向させた単一ドメイン試料を使い,高分子構造及び液晶構造が熱伝導率に及ぼす影響を調査,研究を進めています.
 
新規液晶分子の合成と構造解析
 
 
Macromolecules 2015, 48, 3653-3661.

関連論文
Macromol. Rapid. Commun. 2021 42, 2100311.関連動画
Liq. Cryst 2018, in Latest Articles
繊維学会誌 2018, 74, P20
Macromolecules 2016, 49, 2718
Polymer 2013, 54, 995–998.
Liq. Cryst. 2013, 40, 339–344.
Polymer 2012, 53, 5596–5599.
J. Mater. Chem. 2011, 21, 1697–1699.
Polymer 2011, 52, 5830–5835.
Liq. Cryst. 2009, 36, 1443–1450.
新規液晶分子を探し求めて,設計した分子を合成し,その相転移挙動と液晶構造を調べています.たとえば,すべての主鎖炭素原子が側鎖を持つポリメチレンが形成する液晶には,①ポリメチレン主鎖はらせんコンホメーションをとり,棒状になる ②主鎖は矩形格子を形成し,その中で側鎖メソゲンが層状に凝集しスメクチック構造を形成する ③層内のメソゲンの充填は主鎖らせん構造と相関する という3つの特徴があることが分かってきました.最新のX線回折装置を使い,繊維試料のみならず薄膜試料での構造解析や液晶配向の解明にも取り組んでいます.
 既存の高分子液晶でも今まで不明確だった液晶相の同定に取り組んでいます.数ナノメートルスケールの液晶構造に加え,分子鎖が折りたたまれ,数十ナノメートル厚のラメラ構造が存在することを見つけました.低分子液晶にはない高分子ならではの構造です.
 
構造制御による機能性材料の開発
 
 
Polymer 2015, 81, 23-28.

関連論文
Polymer 2021, 225, 123768.
Liq. Cryst. 2020, 47, 1078.
Liq. Cryst. 2019, 46, 1881.

J. Mater Chem. C. 2017, 5, 4384.
Jpn. J. Appl. Phys. 2017, 56, 095002
J. Mater Chem. 2015, 3, 3790.
Liq. Cryst. 2015, 42, 181.
Mat. Lett. 2014,115, 187-189.
液晶ディスプレイ,テレビ,スマートフォン,タブレットなど,軽くて透明なプラスチックフィルムはこれからも私たちの生活を支える重要な材料です.今はガラスでできている部分も,電気をためるたり通したりするフィルムで置き換えられれば,より軽くて,しかも割れないスマートフォンもできます.しかし高分子は一般に電気をためたり通したりしません.そこで,ポリマーと無機材料や金属材料を組み合わて,透明で電気をためたり通したりするフィルム材料が考えられています.しかし,ナノサイズの金属や無機粒子をそのままポリマーの中に入れても,大きなかたまりになって透明性は維持できません.私たちは,粒子表面から高密度にポリマー鎖を重合し,このポリマー中に粒子を均一に分散させることで透明で高誘電率のポリマ―フィルムを開発することに成功しました.また,ナノファイバーを使い,透明で電気を通すフィルムも作り出しています.落としても割れないのはもちろん,曲げられるスマートフォンも夢ではありません.
重合技術を活用し,液晶分子の固着(アンカリング)力を低下させて新しい液晶表示モードを開発,低温での高分子の黒鉛化の実現などに研究を展開させています.

研究プロジェクト

科学技術振興機構(JST)
産学イノベーション加速事業戦略的イノベーション創出推進(s-イノベ)
フォトニクスポリマーによる先進情報通信技術の開発

「高分子ナノ配向制御による新規デバイス技術の開発」(平成31年3月終了)

プロジェクトマネージャー・研究リーダー:戸木田雅利

情報通信、高精細・大画面ディスプレイでは、様々な光機能を持つ光学フィルムやデバイスが不可欠です。ポリマーの配向、周期構造などの高次構造制御技術、ブラシ状ポリマー、ナノ粒子分散などの形態制御技術およびプロセッシング技術を確立し、大面積・高性能な各種光学素子や液晶レーザー発振型のディスプレイなどを開発します。
 科学研究費補助金
 各研究者が戴いている科学研究費補助金は,データベースをご覧ください.
 戸木田雅利